SFCのサイトリニューアルの件について

fumi · December 19, 2008

SFCのサイトが昨晩変更されたのですが,余りにひどすぎるので最初絶句してしまいました.コメントはweb2008-keio@sfc.keio.ac.jpに送って下さいとのことなので,文章をとりあえず書いてみました

sfc site renewal
sfc site renewal

追記: Geekなページにもコメントがでているようです.

追記2: 大学からの回答を載せました.

政策・メディア研究科/SFC研究所 W3C の加藤文彦です.

新しい Web サイトを受けて,質問・コメントをしたいと思います.なお,このメールに対するご回答はSFCにいる学生,卒業生,教員などの間で広く共有するべきものだと考えております.そのため,頂いたご回答の内容を整理させていただいた後に公開することをご了承ください.

以下の5点が現時点で思いつく問題点です.

  1. アクセシビリティ
  2. Flash の使用
  3. 速いPCのみ対象
  4. SEO
  5. ユーザビリティ

まず,このサイトはアクセシビリティをまったく考慮していません.視覚障害者の人にとっては,SFCのサイトは昨日から存在しないものになっています.実際に視覚障害者の知り合いはもう何もできないようです.我々の W3C は SFC の大きな産学研究プロジェクトとして 存在しますが,先週 その成果の一部として WCAG 2.0 (Web Content Accessibility Guideline 2.0)を Recommendation として公開しました.この内容に近いものが来年 JIS にもなる予定です.W3C をホストしている SFC の Webサイトが真逆のことをしているのは,非常に残念です.

2点目については,Flash は Adobe という特定ベンダーが提供しているアプリケーションであり,Adobe が提供しているプラットフォームでしか動きません.例えば,つい最近まで,Linux 64 bit の環境には Flash のプラグインは提供されていませんでした.大学の Web サイトとして,特定の環境でしか動かないコンテンツのみ提供するということは,大学としてのプレゼンスを下げていくと思います.

3点目は2点目の続きですが,例えば携帯電話など,PC以外からの機器からは SFCのサイトを見ることはできません.iPhoneなど,PCに近い能力を持っている機器でさえ,見ることはできません.また今年EeePCなどの Netbook が爆発的に普及しましたが,そのような環境でサイトを開くと,表示した後に操作ができないほど動作が重いです.大学のサイトとしては,むしろどんな機器からでも情報を閲覧可能なサイトにすべきだと考えます.例えば受験する高校生は,携帯で様々な情報を提供してくれる大学サイトと一部のPCでしかアクセスできないサイトどちらに興味を持つでしょうか.

また,大学サイトの価値として,情報をいかに発信していくかということがあるかとおもいます.例えば革命の舞台裏というトピック自体は良いコンテンツに見えますが,残念ながらFlashの中に全部含まれている以上,検索サイトに載る可能性が低くなります.検索サイトに載らない以上,明示的に大学のサイトを見に来ている人しか読まないので,相対的に大学サイトの価値が下がります.

5点目は 全般的にユーザビリティに欠けています.例えばトップページの検索についてですが,この検索でできるものがグラフの教員検索だけだとは思いませんでした.また一覧性の乏しく,何がどこにあるのかがわからないので,メニューのウインドウなどを何度もクリックする必要があります.

4点ほど改善案を提案したいと思います.

1. 代替の HTML の提供

Flash の環境を使えない人,望まない人のためにHTML版を提供して下さい.

2. サイト検索の提供

現在では何がどこにあるかさっぱりわからないので,サイトの全コンテンツの検索を提供するだけでも変わると思います.

3. トップページのグラフを別コンテンツとして提供

教員や学部の可視化としては面白い実験的な試みだと思います.これが教員紹介などのページにあるのであれば,印象はかわるのではないかと思います.今回批判される主な原因は,これをトップページで行ってしまったということだと個人的に思います.

4. RDF(a) を埋め込む

実験的な試みをしたいというのであれば,教員情報や日程などあらゆるコンテンツにメタデータを埋め込んで抽出できるようにしてもらいたいです.例えば3の可視化のデータとして,各教員のプロフィールなどが FOAF などで表現されており,それを外部のユーザが使用できるなどができれば世界的に注目されるのではないでしょうか.

まだまだ言いたいことはたくさんありますが,以上の点について,とりあえずご回答願えればと思います.

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