ザ・マインドマップ - 脳の力を強化する思考技術

fumi · February 24, 2009

今までマインドマップには興味があったのですが内容を知らなかったので,マインドマップを発案した人の本を読みました.まだ実際に使用してはいないのですが,論文やプレゼンなどの応用例をは試してみたいと思います.

全体を通してみると,マインドマップはブレインストーミングの一手法で,その整理方法が肝です.アイデアを出すプロセス自体は珍しくありません.テーマを中心にキーワードを挙げ,そこから連想されるキーワードをつないでいきます.その後キーワード群の整理や再構築を繰り返すことで完成度を高めるという方法です.ここでポイントなのは,キーワードの挙げ方や整理方法です.マインドマップではテーマや主張を中心としてキーワードの枝を描いていきます.さらにキーワードから連想するキーワードを新たな枝として,尽きるまで追加していきます.書式として,色や図形,絵を積極的に使うことを重視しています.視覚的に強調することで記憶や創造性が高まるためです.

興味深かったのは,グループでの利用です.従来のブレインストーミングでは誰かが筆記役となり,参加者のアイデアを黒板なり紙なりにまとめていくことが多いです.しかし,この本が主張する手順は異なります.

  1. テーマについて,まず個人で1時間程度マインドマップを作成
  2. グループを少人数のグループに分割し,各自のマインドマップを元に_前向きな_ディスカッション
  3. グループ全体でマインドマップのたたき台を作成
  4. 休憩後,1-3を繰り返して再構築

最初に参加者各々が思考する時間を与えているのが特徴です.グループディスカッションの企業での応用例として,ボーイングの成果が載っていました.

ボーイング社では,技術マニュアルを長さ約8メートルのマインドマップにまとめている.その結果,従来は上級航空技師チーム100人の研修を行うのに数年かかったが,それをわずか数週間に短縮する異に成功し,約1100万ドルのコストが削減された. (p.160)

本には8メートルマップの写真も掲載されています.マインドマップを使用することでこれだけ効果があったのだとしたら,逆にいままでどういう研修をしていたのかが気になるところですが.

また,海外では教育機関でも採用されつつあるようです.韓国と中国の例が載っていました.

マインドマップは,日本以上に,他のアジア諸国で急速に広がっている.韓国では義務教育課程で,マインドマップが教えられるようになった.また,中国では2008年のペキンオリンピックをきっかけに,市民一人一人が英語100後を覚える運動が行われており,そのための教育ツールとしてマインドマップが公式に採用されていると聞く.(p.304)

ブザン・ワールドワイド・ジャパンのプレスリリースによると,2006年の時点で10ヶ国以上の公的教育機関で採用されているようです.日本では,学校で個別に導入してみたという事例は目にするのですが,義務教育として導入するという話は聞いたことがないですね.実際にマインドマップが良い方法なのかどうかはわかりませんが,何かしらのアイデアの出し方というのは教えても良いのかなと感じます.

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